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この変更により公益目的支出計画の完了予定日までに完了しないとなる場合は、変更認可の手続きが必要
一般社団・財団法人の移行認可後の運営実務
一般社団法人の社員・機関
一般社団法人の社員
定義 | 従業員という意味ではなく、その社団法人のオーナーであり、社員総会で議案を提出したり、決議したりできる者をいう。 | ||||||||||||||||||||||||||
人数 | 設立時2名以上 | ||||||||||||||||||||||||||
資格 |
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義務 | 従来の社団法人では、社員は会費を支払う場合(社員の経費・会費支払義務)が多かったが、一般社団法人の場合は社員の経費・会費支払い義務を定款に定めるかどうかは法人の任意。 | ||||||||||||||||||||||||||
退会 |
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社員総会
回答 | すぎのコメント | |
定義 | 一般社団法人の社員で構成される最高意思決定機関 | |
制限 | 社員に剰余金を分配する旨の決議はできない。 | |
種類 |
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招集手続き |
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書面または電磁的方法による議決権の行使を認めるときは、理事会で「議案」と「書面による議決権行使の方法」を決めた上で、招集通知を2週間以内に発送する。 |
普通決議 |
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総社員の議決権の過半数を有する社員が出席し、 出席した社員の議決権の過半数 ※特別利害関係のある社員の参加もOK |
特別決議 |
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総社員の半数以上の出席 総社員の議決権の3分の2以上 |
議決権 | 原則 社員ひとりに1個の議決権 | @法人の活動に対する貢献度や会費等の経済的な負担に応じて、 ひとりの社員に複数の議決権を付与することができる。(定款に記載しておく) A特定の社員がまったく議決権をはく奪されることは認められない。 |
議決権行使方法 |
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社員の全員が、決議の目的事項の提案に同意の意思表示をしたときは、 社員総会の開催を省略することができる。 |
議事録 | 10年間保存 | 議事録署名人についての法令の規定はないので、定款の記載に従う |
理事
定義 | 会社でいうところの取締役 | |||||||||
欠格事由 |
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理事の数と代表権 |
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理事の選任方法 | 社員総会の普通決議 | |||||||||
代表理事の選任方法 |
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解任 | 社員総会の普通決議 | |||||||||
任期 | 選任後2年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時社員総会終結の時まで | |||||||||
構成 | 法人税法上の非営利型法人に該当する法人の要件
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代表理事の変更 | 代表理事の変更登記が完了した段階で、すみやかに認可行政庁に代表者の氏名変更届をする。
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理事会
回答 | すぎのコメント | ||
定義 | 全理事で構成される業務執行決議機関 | ||
職務 |
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専決事項 |
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理事会が理事に委任することができないという意味 | |
種類 |
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定款で毎事業年度に4か月を超える間隔で2回以上その報告をしなければならない旨を定めることも可能 | |
招集手続き |
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決議 | 理事の過半数が出席し、その過半数 |
特別利害関係のある理事は議決に参加できない | |
議決権行使方法 |
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理事の全員が、決議の目的事項の提案に同意の意思表示をしたときは、理事会の開催を省略することができる。(定款の記載必要) | |
監事 | 理事会に出席する義務あり | ||
議事録 | 出席した理事(定款で議事録に署名し、または記名押印しなければならない者を当該理事会に出席した代表理事をする旨を定めている場合にあっては、当該代表理事)及び監事は、これに署名するか、または、記名押印しなければならない。 |
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一般社団・財団法人の決算
決算スケジュール
3月 | 理事会開催 | 事業計画書および次年度予算(損益予算)の承認・・・任意 |
5月 | 決算終了 |
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監事監査 | 事業報告、計算書類、公益目的支出計画実施報告書の監査 | |
理事会招集 | 開催日の1週間前までに招集通知を発送 | |
理事会開催 |
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6月 | 社員総会・評議員会の招集 | 開催日の1週間前までに招集通知を発送 |
社員総会・評議員会の開催 |
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(理事会開催) | 代表理事もしくは業務執行理事の選任がある場合 | |
公益目的支出計画実施報告書の提出 | 下記書類を行政庁に提出
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貸借対照表の公告 | 定款に定めた公告手段を確認 |
内部承認手続き
監事監査 | 理事会 | 社員総会 評議員会 |
公告 | 行政庁提出 | |
会計帳簿 | × | × | × | × | × |
計算書類・附属明細書 | ○ | ○ | ○ | BSのみ | ○ |
事業報告 | ○ | ○ | 報告のみ | × | ○ |
公益目的支出計画実施報告書 | ○ | ○ | 報告のみ | × | ○ |
公益目的支出計画実施報告書
1.ポイント
(1)実施事業の継続義務
公益目的財産額の算定において、「継続して実施事業に使用する」として帳簿価額=時価とした資産にかかる事業については、公益目的支出計画が完了するまで継続しなければならない。(2)時価評価した実施事業資産
資産の種類 | 移行登記時の評価 | 公益目的支出計画実施期間中の 正味財産増減計算書 |
公益目的支出計画実施報告書 | 備考 | |
売買目的有価証券 | 時価あり | 移行登記日の時価 | 評価益 評価損 |
実施事業収入に算入しない 公益目的支出に算入しない |
実際の売却損益を公益目的支出計画に反映 |
満期保有目的債券 | 償却原価法 | 通常の償却益(運用益) 通常の償却損(運用損) 減損損失 |
実施事業収入に算入する 実施事業収入に算入する 公益目的支出に算入する |
(決して公益目的財産額の切り下げではない) | |
子会社株式及び関連会社株式 | 取得価額 | 減損損失 | 公益目的支出に算入する | (決して公益目的財産額の切り下げではない) | |
その他有価証券 | 時価あり | 移行登記日の時価 | 評価益 評価損 |
実施事業収入に算入しない 公益目的支出に算入しない |
実際の売却損益を公益目的支出計画に反映 |
時価なし | 取得価額 | 減損損失 | 公益目的支出に算入する | (決して公益目的財産額の切り下げではない) | |
不動産 | 土地 | 移行認可申請年度の 固定資産税評価額 |
減損損失 | 公益目的支出に算入する | (決して公益目的財産額の切り下げではない) |
建物 | 移行登記日の簿価 | 減損損失 | 公益目的支出に算入する | (決して公益目的財産額の切り下げではない) |
(3)退職給付会計の導入
会計上の処理 | 公益目的財産額 | 公益目的支出計画実施報告書 | |
会計基準変更時差異 | 一括費用処理 | 全額減額済み | − |
費用処理期間にわたる均等償却 | 未償却額を公益目的財産額から控除 | 予定された償却額は公益目的支出には算入しない | |
未償却額を公益目的財産額から控除せず | 予定された償却額は公益目的支出には算入する |
(4)その他の主要な事業
実施事業以外の「その他会計」について変更があった場合は次の点に留意しながら記載- @その他事業の事業内容や実施方法に変更があった場合
- →変更の内容、その理由および後継目的支出計画の実施に対する影響
- A新たにその他の主要な事業を開始した場合
- →その旨、当該事業の内容及び公益目的支出計画の実施に対する影響
(5)資産の取得や処分、借入について
多額の借入や資産運用方針の大幅な変更については、あらかじめ届け出が必要。この変更により公益目的支出計画の完了予定日までに完了しないとなる場合は、変更認可の手続きが必要